とにかくLaTeXで文書を作ってみよう

言葉でいろいろ説明してもわかりにくいかもしれませんので、 ここで実際にLaTeXで文書を見てみましょう。 下にあるのはLaTeXのソースコードです。 これをLaTeX環境で整形処理(コンパイル)することで印刷できる形に仕上がります。 いきなり下のソースコードを見ても何をやっているのかよく分からないかもしれませんが、 まずは自分の手で下のソースコードをエディタを使って打ち込んでみてください。 ちなみに、ソースコード中の文章でもLaTeXについて説明してありますので、

なお、下のソースコードには色がついていますが、 これはソースコードが見やすくなるようにしているだけであって、 色をつけることにLaTeX文書としての意味はありません。 おそらく普通のテキストエディタには色をつけるよう機能はないと思われますので に実際に書くときには気にせず全部黒で書いてください。 (LabEditorや秀丸のようなテキストエディタによっては見やすくなるように、 下のソースコードような色をつけてくれるものもあります。)


% 「%」という文字はそれ以降はメモ書きだという事を示しています。
% 「%」以降は実際の表示結果には全く影響しません。
\documentclass[a4j,12pt,onecolumn,oneside,final]{amsart}
\usepackage[dvips]{graphicx}    % グラフィカルな操作に必要です
\usepackage{epsbox}             % 図を使いたい時に必要です
\usepackage{amssymb}            % 使える数式が増えます

\begin{document}                % ここから本文が始まります
\setlength{\baselineskip}{18pt} % 文章の行間幅を設定できます
\thispagestyle{empty}           % ページ番号を表示しないようにしています

{\Large $\sim$ \ はじめよう\TeX \ $\sim$ \vskip3mm \hrule} \vskip10mm

\TeX とは数式を含む文章を簡単に記述したいという要望から生み出されました。
そのため、\TeX を使うと下のような普通のワープロで記述しようとした場合には
非常に手間のかかる数式も簡単に表示する事ができます。
\[ % この記号 \[ は「ここから \] までは数式だよ」という事を示しています。
   % これらの記号で囲まれた数式は中央に表示されます。
  f(x) = 3x^{2} + 5x + 24
       = 3 \left( x + \frac{5}{6} \right)^2 - \frac{463}{12}
\]

ただし、このような数式を記述するためにはちょっとしたコマンドが必要になってきます。
これから、このような簡単なコマンドを紹介していきたいと思います。
ここで紹介するコマンドは\TeX の世界に存在するごく一部でしかありませんが、
コマンドの基本的な使い方さえ覚えればここでは紹介しないコマンドも、
自分で調べて自由に使う事ができるようになります。

\end{document}
ソースコードのダウンロード プレビュ

上のソースコードを簡単に説明します。 LaTeXは本文に加えて、さまざまな整形コマンド(単にコマンドとも言います)を記述していくことで文章を作成します。 整形コマンドとは例えば\Largeのように「\」で始まる文字列のことで、 上の例では青く示しているものがコマンドです。

\LaTeX(LaTeXという文字を表示するためのコマンド)や 上の例にはありませんが\(数式環境で積分記号を表示するためのコマンド) といったコマンドはそのコマンドを記述するだけで使うことができますが、 コマンドの中にはオプションや引数を伴うものもあります。 引数というのは上の例では赤い部分のことで、 例えば\thispagestyle{empty} のようにコマンドの直後の「{」と「}」で囲まれた部分のことを言います。 このようなコマンドでは引数で動作を指定してやらないと正しく使えません。 オプションというのはコマンドの動作を指定してやるという意味では引数と同じですが、 省略できるという点で引数とは違います。

それでは、LaTeXではコマンドというものがあるということがわかったところで、 上のソースコードを一番上から順番に説明していきましょう。


% 「%」という文字はそれ以降はメモ書きだという事を示しています。
% 「%」以降は実際の表示結果には全く影響しません。

これは単なるメモ書きです。 LaTeXでは「%」文字からその行の終わりまでの文字列は整形処理には何も影響を及ぼしません。 LaTeXではこのメモ書きのことをコメントと呼びます。 原稿には書きたくないのだけどメモを残しておきたいというときにはコメントの機能を使うと便利です。


\documentclass[a4j,12pt,onecolumn,oneside,final]{amsart}

\documentclassコマンドではこの文書の体裁を指定しています。 文書のスタイルをamsartというスタイルにしなさいという意味です。 amsartのほかにもjarticle、jreport、jbookなどといった体裁を指定できます。 また、以下にはオプションで指定しているものを説明します。

これらはオプションですから一部、もしくは全部を省略することもできます。 その場合はデフォルトの設定がそのまま適応されます。


\usepackage[dvips]{graphicx}
\usepackage{epsbox}
\usepackage{amssymb}

\usepackageはパッケージと呼ばれる拡張された機能を使いたい場合に、 その使用する機能を呼び出すためのコマンドです。 「graphicx」はLaTeX上でグラフィカルな表現を使用するために必要で、 「epsbox」はEPS形式の画像ファイルを表示するために必要で、 「amssymb」はLaTeXで規定されていないような数式を使用するために必要ですが この例文ではそのような高度な機能はぜんぜん使っていないのでこの部分がなくても問題ありません。


\begin{document}

〜 本文 〜

\end{document}

\begin{document}\end{document}は ここからここまでが原稿内容であるということを示しています。 このような\beginコマンドと\endコマンドで 囲まれた部分のことを「環境」と呼びます。 つまり、LaTeXにおいて原稿の内容部分は「document環境」に記述するわけですね。 LaTeXの環境にはdocument環境のほかにもtable環境やfigure環境といったものもあります。

ここまでの部分はどんな原稿でも同じようなものなのでこの部分はコピーして使ってしまうのもよいかもしれません。 それではいよいよ原稿の内容部分を説明していきましょう。


\setlength{\baselineskip}{18pt}
\thispagestyle{empty}

\setlength{\baselineskip}{18pt}は 文章の行間幅を設定しています。 別にわざわざ行間幅を指示しなくてもLaTeXが自動的に行間にスペースを空けてくれますが、 その幅が気に入らない場合にはこのようにして自分で指定することもできます。 ここでは18ptとポイント指定していますが3mmというようにミリメートルでの指定も可能です。 \thispagestyle{empty}は ページ番号が表示されないようにしているだけです。 LaTeXでは自動的にページ番号を振ってくれますが、 1ページだけの原稿なのにページ番号がついているのはおかしいので、 このページのページ番号をこのコマンドによって無効にしています。


{\Large $\sim$ \ はじめよう\TeX \ $\sim$ \vskip3mm \hrule} \vskip10mm

この行ではタイトルを表示しています。 この行は「{」と「}」で囲まれていますがコマンドの直後にあるわけではないので引数というわけではありません。 \Largeというコマンドはこのコマンドから後の文字を大きくするというコマンドなのですが、 ここから現行の最後まで文字が大きくなってしまうと都合が悪いので、 このようにして「{」と「}」でくくって範囲を指定しているのです。 $\sim$というように「$」と「$」で囲まれている部分は数式環境です。 ここではただ単にタイトルの飾りとして数学記号を表示するためのコマンドである「\sim(〜)」を 使いたかっただけで特に大きな意味はありません。 数式環境については後ほど説明します。 \vskip3mmというのは3mmあけて改行するという意味で、 長さを指定することで自由に幅を指定して改行することができます。 そして、その次の\hruleは横線を表示するためのコマンドです。


\TeX とは数式を含む文章を簡単に記述したいという要望から生み出されました。
そのため、\TeX を使うと下のような普通のワープロで記述しようとした場合には
非常に手間のかかる数式も簡単に表示する事ができます。

この部分は文章です。 このように文章は普通に記述するだけで文章として表示されます。 ただし、ソース中では改行しても表示結果として反映されることはありませんし、 スペースもいくら入れても少しだけ隙間ができる程度にしか反映されません。 LaTeXでは表示する際には自動的に改行されきちんと文章が紙に収まるように整形してくれます。 なお、文章中の\TeXコマンドは TeXのロゴを表示するためのコマンドです。 (TeXという言葉が出てきましたが、 LaTeXとの関係はTeXをより使いやすいように拡張したものがLaTeXと考えてください。)


\[ % この記号 \[ は「ここから \] までは数式だよ」という事を示しています。
    % これらの記号で囲まれた数式は中央に表示されます。
    f(x) = 3x^{2} + 5x + 24
          = 3 \left( x + \frac{5}{6} \right)^2 - \frac{463}{12}
\]


この\[\]で囲まれた部分は 数式環境と呼ばれ、数学的な表現を行いたい場合に使用します。 数式環境中では入力されたアルファベットが数式に使われるような斜体になり、 数式表現のための数学記号や数式コマンドが使用できるます。 3x^{2}と言う記述は 3xの2乗(3x2)を数学的に表現してくれます。 \left\leftは 括弧の大きさを数式の高さにあわせて自動的に調整してくれるコマンドです。 コマンド\frac{5}{6}は分数を表示するための コマンド(\frac{分子}{分母})で、 この場合だと5/6と数学的に表示されます。 HTMLではうまくかけませんが実際にはちゃんと分数の形で表示されます。

一度実際に自分でLaTeX原稿を書いてみることである程度どういうものかわかったと思います。 ここでは、まず書いてみようということでLaTeXの文書の基本的な書き方を大まかに説明してきましたが、次からは各部分ごとに細かく説明していきたいと思います。

なお、ここで説明した文字を修飾するコマンドは組み合わせて使用することも可能です。


<< 前のページ 目次に戻る 次のページ >>